不動産の名義変更の手続き
不動産の名義変更は、法務局に対して所有権移転登記をすることによって行います。その所有権移転登記の中でも相続を原因とするものについて見ていきましょう。
だれが名義変更の手続きをするのか
相続を原因とする所有権移転登記の手続きは、相続によって不動産を取得した人がすることになります。複数の相続人がいたとしても、不動産を取得した相続人のみがすることになります。
いつまでに手続きをしなければいけないのか
相続を原因とする所有権移転登記には期限がありません。よく、相続税の申告期限である相続が開始したことを知ってから10か月という期限を所有権移転登記の期限と思われている方がいらっしゃいますが、不動産の名義変更の手続きは義務ではありません。
必要書類
一般的な相続を原因とする所有権移転登記には下記の書類が必要となります。
- 亡くなった人の生まれてから死亡するまでの戸籍、除籍、改製原戸籍
- 亡くなった人の死亡時の住所が分かる除かれた住民票の写し(本籍の記載あり)
- 相続人全員の戸籍
- 遺産分割協議書(実印での押印が必要)
- 遺産分割に押印した実印の印鑑証明書
- 不動産を相続した人の住民票の写し
- 不動産の固定資産税評価額が分かる価格通知書・評価証明書など
※相続人が一人しかいない場合には、遺産分割協議書や印鑑証明書は必要ありません。また、相続人に直系尊属(親や祖父母など)や兄弟姉妹が含まれる場合や代襲相続が発生している場合には、必要書類が変わります。
代襲相続とは具体的に登記申請はどうやるのか
登記の申請は、法務局に登記申請書と必要書類を提出することによって行います。
登記申請書の記載例を下記に掲載します。参考にしてください。
※登記申請書には、A4の用紙を使用してください。
登 記 申 請 書
登記の目的 所有権移転
原 因 平成〇〇年〇〇月〇〇日相続(※1)
相 続 人 (被相続人〇〇〇〇)
住 所(相続をする人の住所)
氏 名(相続をする人の氏名)印
連絡先の電話番号 - - (※2)
添付情報
登記原因証明情報 住所証明情報
平成〇〇年〇〇月〇〇日申請〇〇〇法務局〇〇支局
課税価格 金〇〇万円(※3)
登録免許税 金〇〇万円(※4)
不動産の表示(※5)
不動産番号 所 在 地 番 地 目 地 籍 不動産番号 所 在 家屋番号 種 類 構 造 床 面 積
※1 被相続人が亡くなった日を記載します。
※2 書類に不備があると法務局から連絡があります。
※3 不動産の固定資産税評価額を記載します。
※4 具体的な計算方法は、こちらで確認してください。
※5 不動産の表示は、不動産の登記事項証明書の記載を一字一句間違えずに記載する必要があります。
どこに申請すればいいのか
不動産の登記をする法務局には管轄が定められています。管轄を間違えて登記申請をすると却下されてしまいます(おそらく、管轄が違うことを受付の時に教えてもらえると思います。)。
愛知県のみではありますが不動産登記の管轄をまとめたのでご参照ください。
愛知県・名古屋法務局の管轄一覧費用はいくらかかるの
登記の申請をするときには、登録免許税という税金がかかります。相続を原因とする所有権移転登記の登録免許税は、移転する不動産の価額の0.4%となります。また、登録免許税の計算を計算する際には、端数処理が必要になります。この登録免許税は、一般的には収入印紙を購入して登記申請書に貼付することによって納付します。
※余談ですが、ほとんどの法務局には印紙売場があるので、現地で購入することができます。
登録免許税の端数処理