相続に関する記事はよく見かけますが、そもそも相続がどのようなものなのかという記事はあまり見かけません。「相続」ということに対して、こんなものかなというイメージを持っている人は多いと思うのですが、相続ってどういう意味と聞かれて答えられる人は少ないのではないのでしょうか。

ということで、少し掘り下げて相続について考えてみたいと思います。

相続とは

相続という言葉を法律用語辞典で調べてみると「人の死亡によってその財産上の権利義務を他の者が包括的に承継すること」とされています。少し表現が難しいのでかみ砕いて説明をすると「人が死亡することによって始まり、その人の財産上の権利や義務をほかの人がまとめて引き継ぐこと。」といった感じです。

この中で重要なのが「まとめて引き継ぐ」ということです。相続というと権利や義務が移転するようなイメージを持たれている方が多いと思いますが、どちらかといえば死亡した人と相続をするひとの法的な地位が「融合」するイメージに近いです。

資産だけでなく負債も相続する

相続するというと遺産を受け継ぐイメージが強いと思いますが、借金などの負債も相続の対象となります。でも、ある人が何代かかっても返せないような借金を抱えてしまった場合に、その子孫がずっとその借金を背負っていくのは酷な話なので「相続放棄」という制度があります。もちろん相続放棄をすると借金だけでなく資産も相続することはできません。余談ですが、相続人が受取人となっている死亡保険金は相続財産ではないので、相続放棄をしても受け取ることができます。

人の死亡以外で相続が開始する場合

人が死亡以外でも相続が開始する場合があります。「失踪宣告」の制度です。失踪宣告とは、ある人が失踪している期間が続いたときに、利害を有する人の請求で家庭裁判所がする宣告のことをいいます。家庭裁判所が執行宣告をすると、失踪している人に相続が開始します。

失踪宣告には、普通失踪特別失踪の2種類があります。

普通失踪は、失踪している人の生死が7年間分からないときに、家庭裁判所は執行宣告をすることができ、7年間の期間満了時に相続が開始します。

一方、特別失踪は、戦地に臨んだ人、沈没した船舶の中にいた人などの死亡の原因となる危難に遭遇してしまった人についての制度で、それぞれ戦争が終わった後、船舶が沈没した後などの危難が去った後1年間生死が不明な場合に家庭裁判所は、失踪宣告をすることができます。家庭裁判所が失踪宣告をすると危難が去った時に相続が開始します。

生死が分からないのであれば生きていると信じたいですけど、そのままにしておくこともできないため存在する制度です。

ちなみに、人の死亡以外で相続が開始するというタイトルですが、失踪宣告の制度は死亡を擬制する制度なので厳密にいうと死亡が相続の開始原因だったりします。すいません。

まとめ

「相続について、解説してやる!」と思ったものの、そんなに書くこともなかったので、この程度で終わりにしたいと思います。重要なことは相続は「法的な地位が融合する」ということぐらいですかね。次回は、「家督相続」の制度について解説したいと思います。